大  和  の  言  葉


大和は上代の政治、経済、文化の中心であったから、とにかく大和の言葉は、その頃の社会の標準語であった。大和言葉にサンを入れるなとまでいわれた。

しかも長い期間にわたって、たえず四周の言葉の波に押されて、今日に至ったものの、同じ言葉にもたしかに古いものを遺している。古い言葉を知ることによって古い文化が生きていることが感じられる。現在の大和言葉は本州西部方言の近畿方言に属するもので京都、大阪、奈良、神戸などの都会の影響を受けた大和北部国中(くんなか)の言葉と、昔のままの言葉が多く残っている大和南部山間部の言葉とが使われている。

大和方言は近畿方言の縮図の性質をもっている。近畿の中心的な方言をもっていて決して周辺的なものではない。
                                         「御所市史」より

アゴタ あご シモタ しまった
アラシン ありません シバク たたく
アワイ あいだ シコタマ たくさん
アンガキ あのひと スモン すもう
アモ もち スカタン あてが外れる
アサギ 朝食 スルビ マッチ
アマエサン 菓子 スケナイ 少い
アイヤコ 共有 セングリ つづいて
イカイス ゆく セェダイ よけい
イヌ かえること ソネン そのように
イノ かえること ソンナラ そうしたら
インデコマス かえってやろう ソヤデ そうです
イカイ たくさん ソーヤ そうです
イラウ さわる タノシ たにし
イッケ しんるい タカル あつまる
イビ ゆび タメ 物をもらった時のお礼 を入れるもの
イコス 火をおこす ダンダラ 不そろい
ウサル すたれる ダダコネル 無理をいう
ウタトイ うるさい ダンナーエ かまわない
エライ くるしい ダダクサ どうらく
エッゲツナイ むごい ヂベタ 地面
オトロシ うるさい チョロクサイ 何でも無い
オシタジ しょうゆ チャン
オムシ みそ チョケル おどける
オトガイ あご チョロイ 細い・弱い
オマハン おまえさん チミタイ つめたい
オトンボ 末の ツバケ つば
オジゲ おじぎ ツブレ つるべ
オツイ おしる ツクボル しゃがむ
オーコ にない棒 テレコ 反対になっている事
オカイ おかゆ テノゴイ 手ぬぐい
オシッコ 小便 テンゴスル いたずらする
カイル トコギリ できるだけ
カダ におい ドンガラ からだ
カンコリ トリゲ 鳥居
カッコ げた( 子供) トト さかな
カサマエ はんたい ドネンスル どのようにする
カンコクサイ サイ紙や布のクスぼること ナーア 菜葉
カタズケル よめにやること ナンヤ なんですか
カベアタマ ろのまっすぐな ナスビ なす
キョーネン 去年 ナマハンジャクナ 生意気な
キリモン きもの ニイヤン 兄さん
キンニョ 昨日 ニンニン にぎりめし
キリス きりぎりす ネブカ ねぎ
ギャハッタ きた ネンジン にんじん
ギョウサン たくさん ネソ おとなしい
キツネノカミソリ ひがんばな ネキ
キケル 病気で苦しむ事 ノッカケ はじめ
キャキツイ はげしく ノウ…ヨウ あの…ねえ
クツナ へび ハンダイコ
グルリ まわり ハチメロ 男に似た女
グズマ ぐどんなん バツイ 厚い
グツワルイ 都合悪い ヒネテイル
クノギ くぬぎ ヒッコイ しつこい
クダラン つまらん ヒャクタグリ
クソッポノマニモアワン 何の役にもたたない ブー
クモジ つけもの ブッカケ 茶漬
ケー ヘタラ そうしたら
ケツネ きつね ベベ きもの(子)
ゲンロク ひざ頭 ヘシ ひし
ケッタクソワルイ 不愉快 ヘル ひる
ゲンナリスル がっかりする ヘーキ ひいき
ケッタイナ おかしな ホトコロ ふところ
ケナルイ うらやましい ホンダラ そうしたら
ゲラ よく笑う ホタエル たわむれる
ゲベッチョ 最後 ボロクソ たやすい
ゲンゲラ れんげそう ホーケ ほうき
ゲッチョ 左利 マメ 達者
コネン このように ママ めし
ゴロット すっかり ミシロ むしろ
コカス たおす ミンナン みんな
ココントコ ここ ミシル むしる
ゴッスン 五寸 ムカジ むかで
ゴンボ ごぼう ムサイ むさくるしい
ゴツイ 丈夫 ムサンコ むやみに
ゴメンナー ごめん下さい メメズ みみず
ゴッツラ ごちそう メンタ めす
コスイ ずるい モムナイ 味悪いこと
コツノ うちの モロコ 川池のざこ
コンヨウ 根気良く ヤセク 夜食
コンガキ この子め ヤロコイ やわらかい
ゴワヘン ございません ヤツス お化粧する
コナイニ こんなに ヨンベ 昨夜
ゴモク ちり ヨサリ
ゴテル もめる ヨリアイ 集会
サイケ そうですか ヨウズ 湿気の多いこと
サイヤ そうです レンジ 格子戸
サラ あたらしい レンド 春のまつり
サイメン 田畑のさかい ロック 平らなこと
サイ おかず ワイ 自分のこと
シャヘン しない ワレ おまえ
シクサル する ワルイキ 損をすること
シンドイ くるしい ワヤ 駄目
シブチン けちんぼ  
シンキクサイ めんどうな  
シラコイ いたずらな  
シャモジ しゃくし  
シャーセン しません  
ションベ しょうべん  
シタイ ひたい  
 

   *方言は職業・性別・年齢等によってちがいがあるようです。

◆「し」と「ひ」とを混同したもの、「しとつ」(ひとつ)「しと」(ひと)「しとり」(ひとり)

◆「ら」と「だ行」の混同したもの、「それ」(そで)「ひらり」(ひだり)「ころも」(こども)

    「だいねん」(らいねん)

◆「直音」と「拗音」とを混同したもの、例えば「しゃけ」は(さけ)のこと、「じょうーり」(ぞうり)

「じゃこ」(ざこ)「じゃくろ」(ざくろ)「しゅみこむ」(しみこむ)

◆「ん」を添えるもの、「にんがつ」(二月)「ごんごう」(五合)「もんめん」(もめん)

「てんまり」(てまり)「ごんぼ」(ごぼう)

◆「鼻音」と「長音」とを混同したもの「すもん」(すもう)


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